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いま、ここに。
日々の出来事や季節の風景、絵に関する考えなど、さまざまなことを取り上げる講師コラムです。
年中、風鈴。

絵画教室ロクののれんには、季節を問わず風鈴が下げられている。
夏だけではなく、年中だ。それには少し理由がある。
教室のある場所は、近隣の風が全て集まってくるのではないかと思うほど、強い風がよく吹く。その影響で、のれんが風に飛ばされてしまうことが何度かあった。困っていたところ、風鈴を止めるために使っているクリップがちょうどいいストッパーになることに気づいたのだ。風鈴を下げるようになってからは、どれほど強い風が吹いてものれんが落ちることはなくなった。
こうして、実用的な理由から年中風鈴を下げることになったわけだ。真冬の寒い日に涼しげな音が鳴り響いているのは、近所迷惑になっているかもしれないが……。

そんな、絵画教室ロクをひそかに象徴する存在となった風鈴を、受講生にも作ってもらおうと思い立った。100均でガラス風鈴をまとめて購入したとき、正直「誰も作らなかったら無駄になるかも」と少し心配していた。ところが、結果は足りないくらいの人気だった。
アクリルガッシュで好きなものを自由に描くのだが、内側から描くと筆のマチエールが消えて見た目がぐっときれいになる。ただ、描きにくいことこのうえない。それでも何人かの小学生が、難しいとわかっていながら内側からの描き方に挑戦していた。
夏を思わせるもの。祭りの賑わいを思わせるもの。夜空に広がる花火を思わせるもの。どれも涼しげで、眺めていると心がすっとするような風鈴に仕上がった。

ところで、風鈴の魅力は見た目だけではない。「音」についても少し書きたい。
スマートフォンやタブレット、テレビやラジオ。気づけば私たちは、多くの時間を「作られた音」に囲まれて過ごしている。そんな中で、ガラスとガラスがぶつかって生まれる音は、不思議なほど染み入る。人工的に作られたものではない、その場でだけ鳴る、一度きりの音だ。
ガラスの透明感と、そこに描かれた絵のハーモニー。目で楽しみ、耳で染み入る。風鈴はそういう、ちいさな豊かさを持った道具だと思う。
季節の商品は時期を過ぎると手に入りにくくなるが、もし100均で見かけることがあれば、ぜひ一度作ってみてほしい。絵を描くことと、音を楽しむこと。その両方が、一つの小さなガラスの中に宿っている。
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今週の絵画教室
梅雨の季節が近づき、雨音に包まれた静かな一週間でした。台風の接近もありましたが、生徒の皆さんは振替を経てそれぞれのペースで制作を続けています。今週は体験レッスンでの新たな出会いもあり、子どもから大人まで、それぞれが自分の作品と丁寧に向き合う時間が積み重なった週でした。
子ども(幼稚園・小学生)
今週の子どもたちはとりわけ盛りだくさんで、透明水彩・マット水彩・クレパス・スクラッチ・風鈴づくりと多彩な制作が展開されました。水彩紙にクジラを描いた小学生は、色の濃淡を生かして絵本のような温かみのある作品に仕上げました。静物画に初めて挑戦した小学生は、リンゴやオレンジなど複数のモチーフを背景から陰・影法師・ハイライトまで丁寧に描き込み、力強い仕上がりを見せました。透明水彩では初挑戦ながら薄く透明感のある塗り方を自然につかみ、壁やテーブルの質感が美しい作品に。風鈴制作では、ガラス風鈴の内側から描くという難度の高い方法に果敢に取り組む姿も見られました。アジサイの下描きでは、細かい花びらに悩みながらも粘り強く描き続け、画用紙いっぱいに仕上げた場面が印象的でした。
中学生
今週は2名の中学生がそれぞれ制作を進めました。1人はアクリルガッシュによる人物画に取り組み、ウォーミングアップの形取り練習では立方体・円柱に加えて3つ連なった立方体という新しいモチーフにも挑戦。人物画では肌の着彩が進み、瞳と眉毛が描き加えられたことでそれまで静かだった表情に一気に生命感が宿ってきました。もう1人は写真を見ながら人物の比率を意識した人物画に取り組み、肩の下がり方や首の傾きに課題を感じながらも各パーツの比率は正確に描けていました。続くガラス瓶・ステンレスジョッキ・チェック柄のテーブルクロスをモチーフにしたマット水彩の静物画では、ステンレスジョッキへの映り込みが美しく表現されています。
高校生
ペットボトルコーラ・グラス・テーブルクロスのデッサンで、今週はグラスの質感表現に取り組みました。グラス越しに見えるテーブルクロスの屈折が前回と異なることに自ら気づき、グラスを回転させて修正するという観察眼の鋭さが光りました。映り込みを正確に描写した質感表現にも着実な成長が感じられ、受験対策に向けた基礎力の積み上がりを実感できる回となりました。
大人
今週はスニーカーとスケッチブックを描いた透明水彩の静物画が完成しました。スニーカーの色を調整して影とのメリハリをつけ、紫と緑だけで構成された画面が統一感のある美しい作品に仕上がっています。別の受講生は自宅を描く透明水彩の続きで、薄く色を重ねながら透明感を丁寧に積み上げています。毛糸玉とテーブルクロスのデッサンでは、陰影の丁寧な描き込みによって布の質感がぐっと画面に現れてきました。土曜日はランタン・ペットボトル・テーブルクロスの静物画で細かな質感描写が進み、渋い雰囲気の作品が形になってきています。日曜日はステンレスケトルへの映り込みという繊細な課題に向き合い、その密度の高い描写が印象的でした。
受験対策クラス
今週は高校生による鉛筆デッサンを中心に進めました。グラスという透明な素材の質感表現や、グラス越しに見える布の屈折の観察など、細部の見方と描き方に重点を置いた取り組みです。自ら問題に気づいて修正するという姿勢が育ってきており、観察力と描写力が確実に積み上がっています。
体験レッスン
今週は社会人1名と小学生1名が体験に参加しました。デザインの仕事に携わる社会人の方は鉛筆デッサンに挑戦。形の取り方を丁寧に実践し、パースへの意識という次の課題も見えてきました。体験後すぐに本受講を決めていただき、次回からの制作がとても楽しみです。小学生はアクリルのウェットオンウェット技法で雪山を表現し、滑らかな雲の表現を体感。続く創作画では動物と自然が混ざり合う賑やかな作品を描き、鉛筆での自由画やクレパスのグラデーションにも挑戦と、盛りだくさんな時間となりました。
今週のハイライト
・紫と緑だけで構成したスニーカーの透明水彩静物画が完成。色の統一感が美しい仕上がりに ・グラス越しの屈折に自ら気づき修正した高校生の観察眼の確かさ ・初めての透明水彩で、薄く透明感のある塗り方を自然につかんだ小学生の感受性 ・体験後すぐに本受講を決めてくださった社会人の方との嬉しい出会い ・内側から描く難度の高い風鈴づくりに挑戦し、丁寧に仕上げた小学生の粘り強さ
講師より
今週は体験レッスンでの嬉しい出会いがあり、また長く取り組んできた作品の完成もあり、それぞれの節目を感じる一週間でした。生徒の皆さんが自分の目で観察し、自分の手で試行錯誤しながら作品を育てていく様子は、毎回発見の連続です。「上手く描く」ことよりも「よく見て、感じて描く」という姿勢が、どの年齢の方にも少しずつ根付いてきていることを実感しています。来週もそれぞれのペースで、じっくりと向き合っていきましょう。
今週の受講生の作品
講師のひとこと
今週は、それぞれの作品から「よく見て、感じて描く」という姿勢がしっかりと伝わってくる一週間でした。モチーフと向き合いながら、自分なりの表現を見つけていく過程が、どの作品にも自然と滲み出ています。
スニーカーとスケッチブックを描いた透明水彩の静物画(作品No.0399)は、薄紫と緑という色の組み合わせがとても印象的です。この2色だけで画面がまとまり、透明水彩ならではの透き通るような質感が美しく引き出されています。色数を絞ることで生まれる統一感の力を、この作品はよく表しています。
マスカット・柿・瓶を描いた鉛筆画(作品No.0400)は、全体を薄くまとめた中に、それぞれのモチーフの質感を意識したタッチが光っています。マスカットのつるんとした感じ、柿のしっとりとした重さ、瓶の硬さ。鉛筆一本でそれぞれの素材感に向き合おうとしている姿勢が、作品全体から伝わってきます。
名刺サイズの小さな画面にスクラッチで描いた花火(作品No.0401)は、小さくてもしっかりとした存在感があります。線の伸びやかさと画面のバランスの良さが、作品全体に子どもらしい清々しさを与えています。小さな画面の中に、大きな空が感じられるような一枚です。
マット水彩で描いた静物画(作品No.0402)は、モチーフの配置と、弧を描くように表現されたテーブルや壁のラインに独特の魅力があります。初めての静物画とは思えない画面の構成力に驚きました。思わず目が引き寄せられる、不思議な引力のある作品です。
透明水彩で描いたオレンジとレモンの静物画(作品No.0403)は、壁やテーブルクロスの質感表現が見事です。透明水彩を初めて使ったとは思えないほど、薄く澄んだ色の重なりが自然に表れていて、光の中にモチーフが置かれているような清々しさを感じます。
それぞれの作品に、その人らしい見方や感じ方が宿っています。上手に描こうとする前に、まずじっくり見て、感じたことを手に伝える。そのシンプルな積み重ねが、どの作品にも確かな力として現れていました。来週もそれぞれのペースで、自分だけの表現を楽しんでいきましょう。
画材ノート(Material Note)

今回ご紹介するのは、永山裕子先生の『水彩入門 透明感を生かして描く』(グラフィック社)です。
透明水彩を使っているのに絵が重たくなってしまう、にじみやぼかしを試しても思ったような透明感が出ない……そんなお悩みを持つ方に向いている一冊です。透明感を生み出す鍵は絵の具の種類よりも水の量のコントロールと色の重ね方にあることを、花・風景・静物という身近なモチーフを通じて丁寧に教えてくれます。
著者の永山裕子先生は東京藝術大学を卒業後、武蔵野美術大学の客員教授も務める日本を代表する透明水彩画家のひとり。制作過程が細かく図解されているので、完成作品を眺めながら「どうしてこんなに美しいのか」を少しずつ理解していくことができます。
絵画教室ロクでも、透明感に悩む受講生への技法説明の補助として実際に活用している一冊です。入門〜中級者の方、透明水彩をもう一度学び直したい方にもおすすめです。
絵画教室ロクでは、名張市を中心に伊賀市・津市・宇陀市からも通いやすく、初心者から経験者まで目的に合わせて学べる環境を整えています。受験対策として基礎からしっかり学びたい方、大人の習い事として絵を楽しみたい方、子どもの情操教育として豊かな感性を育みたい方、それぞれに寄り添った指導を行っています。来週もまた、生徒のみなさんの表現力や想像力が広がる時間をお届けできればと思います。
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