六曜社・透明水彩・デッサン・アクリル|京都コラムと絵画教室の一週間|絵画教室ロク通信|絵画日和 vol.030(5/19〜5/24)

絵画教室ロク教室通信030|アイキャッチ画像 今週の絵画教室(Weekly Report)
今週の絵画教室(Weekly Report)

いま、ここに。

日々の出来事や季節の風景、絵に関する考えなど、さまざまなことを取り上げる講師コラムです。

六曜社にて

京都で展覧会に行ってきた。
久しぶりに京都に来たということで、昔よく行っていた三条にある「六曜社」という喫茶店に立ち寄った。
昭和の趣をそのままに、今時貴重な喫煙可の喫茶店である。
とりあえず、アイスコーヒーとドーナツを頼む。
コーヒーがとてもおいしい。
ドーナツがとにかくおいしい。
・・・といった店ではない。
もちろん、個人的な感想ではあるが、
雰囲気がいいのだ。
大学生がいたり、職業不明の洗練されたファッションセンスの方がいたり、
女性客も、どこか落ち着いた感じで
とにかく客層が良いのだ。
相席当たり前の混みようではあるが、不思議と落ち着くのだ。

ここに来てふと思い出すのは、10年以上前に一度立ち寄った時のことだ。
雨の日であったため、まずは店に入って傘を傘立てに刺す。
傘立てには他のお客さんの傘でいっぱいになっていた。
そうすると、どこか無表情な若い店員の女性が無機質な感じで席に案内する。
1時間以上滞在しただろうか。
混み合う店だけあって、その間にも客はかなり入れ替わっていた。
席を立ちレジに向かうと、先ほどの店員が先回りして私の傘を持って待っている。
私は本当に驚いてしまい、「すごいですね!よく覚えていますね?」という言葉が自然と口から出てしまっていた。
そうすると、その無表情な女の子の顔が何とも形容しがたい満面の笑顔になり、その笑顔がとても素敵で今でも記憶に焼き付いている。
接客上の作り笑顔ではなく、本当にうれしかった時にでる笑顔だったからだ。
その笑顔を見られただけで、何とも満たされた気持ちになれた。

彼女が嬉しく思えるひとことを言った私が「良いこと」をしたのか、
そもそも、そのきっかけを作った彼女が「良いこと」をしたのか、

そんなことを考えていた時もあったが、そのどちらでもなく、お互い何ら思惑を持たない者同士の必然的な出来事であったのだろうと今ではそう解釈している。

そういう出来事があった六曜社ではあるが、何の期待感もなく気が向いたら行くようにしている。

なぜなら、必然的な出来事というのは期待感とは関係のないところで発生するからだ。

そんなことを考えながら、最後のひとかけらのドーナツを口に放り込み、氷の溶けたアイスコーヒーを飲みほし、席を立った。

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今週の絵画教室

5月も後半に入り、初夏の気配が漂い始めた一週間。教室には幼稚園から大人の方まで、さまざまな生徒さんが訪れ、それぞれの制作に丁寧に向き合いました。画材も題材も多彩で、教室のあちらこちらから集中する気配と、ときおり小さな歓声が聞こえてくるような、にぎやかで温かな毎日でした。


今週の活動

① 子ども(幼稚園・小学生)

クレパス・マット水彩・アクリルガッシュ・はじき絵・色鉛筆など、多彩な画材と題材に取り組んだ一週間でした。静物画に初挑戦した小学生は、果物や瓶を一つひとつていねいに描き分け、はじめてとは思えない落ち着いた仕上がりに。クレパスで黒猫を描いた子は、塗り残すべき部分を自分で判断しながら慎重に進める姿が印象的でした。年長さんはグラデーションとスクラッチ技法に挑戦し、広い画面を最後まで根気よく塗り続けました。自分の判断でどんどん試しながら進める姿、細部まで観察しながら描く集中力など、それぞれの個性が光る一週間でした。

② 中学生

アクリルガッシュで人物画に取り組んでいた生徒が、口の中の描写・髪の毛の質感・指の明暗まで丁寧に描き込んで作品を完成させました。タイトルは「いつも言ってるやん」。表情とポーズがそのセリフをそのまま体現していて、今にも動き出しそうな存在感のある作品に仕上がりました。ウォーミングアップの形取り練習では、ほぼ違和感のないレベルまで精度が上がっており、積み重ねてきた練習の成果が確実に表れています。別の生徒はマット水彩で花瓶と石膏の静物画に取り組み、水分多めで淡く重ねる新しい塗り方に切り替えて、静かで美しい画面をつくりはじめています。

③ 高校生

受験対策として、ガラス瓶・布・レモン・ステンレスジョッキなどのモチーフに取り組みました。初めてのガラス瓶では、透明感と硬さを表現するために明暗のメリハリを意識しながらよく観察して描き進め、今後の改善点も自分でしっかり言語化できていました。4時間の連続受講では全体をバランスよくまとめる力がついてきており、鉛筆をカッターで削る練習もスタートして、道具との向き合い方から丁寧に積み上げています。

④ 大人

透明水彩・鉛筆デッサン・アクリル・マット水彩・クレパスと、今週も多様な画材で制作が深まりました。おふさ観音を描いた透明水彩作品は仕上げの工程を迎え、夜空に浮かぶ提灯と咲き誇る花々が発光するような美しさで仕上がりました。リンゴとステンレスケトルの静物画を完成させた方は、次の画材にクレパスを選んで新たな表現の楽しさを体験。デッサンでは影の表現・ガラスの質感・チェック柄の布など、それぞれが自分の課題と向き合いながら観察力と描写力を着実に高めています。

⑤ 受験対策クラス

今週は複数モチーフのデッサンを中心に取り組みました。ガラスの透明感・布のしわ・金属の質感と、それぞれ異なるアプローチが必要なモチーフに順番に挑戦しています。形の取り方・ハッチングの入れ方・明暗のバランスなど、技術的な課題を一つひとつ整理しながら進めており、受験に向けた基礎力の底上げを着実に続けています。

⑥ 体験レッスン

今週は小学生のお子さんが体験レッスンに来てくださいました。ウェットオンウェット技法で雪山を表現し、迫力ある仕上がりに。続く創作画では下地づくりから一色ずつじっくり考えながら色を置き、その効果を確かめながら丁寧に進めていました。描くプロセスそのものを楽しんでいる様子がとても印象的で、絵を描くことへの純粋な喜びが伝わってきました。またいつかお会いできる日を楽しみにしています。


今週のハイライト

  • 中学生の人物画「いつも言ってるやん」が完成。表情とポーズが見事に噛み合い、今にも動き出しそうな存在感のある作品に仕上がりました。
  • 透明水彩でおふさ観音を描いた作品が完成。夜空に浮かぶ提灯と明るい花々の対比が、透明水彩ならではの発光感で美しく表現されました。
  • 小学生が初めてのデッサンに挑戦。ポイントを押さえながら立体感のある仕上がりを実現し、初挑戦とは思えないセンスが光りました。
  • 複数の小学生が初めての静物画に挑戦し、果物や瓶を一つひとつ丁寧に描き分ける集中力を見せてくれました。
  • 体験レッスンの小学生が、色の効果を確かめながらじっくり描き進める姿を見せてくれました。描くプロセスを純粋に楽しむ姿が印象的でした。

講師より

今週は幼稚園から大人の方まで、本当にさまざまな年齢・画材・題材が教室に集まった一週間でした。完成した作品もたくさんありましたが、それ以上に印象的だったのは、それぞれが自分なりの問いを持ちながら制作に向き合っていたことです。「もっとうまく描けるかな」と試行錯誤する姿、新しい画材に初めて触れる緊張と楽しさ、完成したときの表情——どれも教室の大切な時間です。来週も、一人ひとりのペースと表現を大切にしながら、一緒に制作を楽しんでいきたいと思います。

今週の受講生の作品

講師のひとこと

今週は7点の作品が完成しました。画材も表現もそれぞれ違いながら、どの作品にも描いた人の個性がしっかりと宿っていて、並べて見るととても豊かな顔ぶれになりました。

「おふさ観音」は、実際の写真の色にとらわれず、深い夜の空気感を自分の色で表現した透明水彩の作品です。提灯の幻想的な光と丁寧に描かれた植物の描写が画面に奥行きをつくっていて、透明水彩ならではの発光するような美しさがあります。見るたびに新しい発見がある作品です。

「静物画」(ステンレスケトル・リンゴ・テーブルクロス)は、透明水彩を初めて使った作品とは思えない完成度でした。ケトルの鏡面とリンゴの柔らかさがきちんと描き分けられていて、透明感と存在感がしっかりと両立しています。初めての画材でこれだけの表現ができたことは、大きな自信につながると思います。

「静物画」(果物と瓶)は、マスカット・レモン・リンゴ・オレンジ・バナナ・瓶と、たくさんのモチーフに丁寧に向き合った作品です。陰影とハイライト、質感表現まで丁寧にチャレンジしていて、一つひとつのモチーフへの観察がしっかりと活きています。小学生の作品として、とても頼もしい仕上がりです。

「黄色と緑と青」は、複数の花がそれぞれの色に対応するように土の色も変化していくという、よく考えられた構成の作品です。イメージから描き起こしながらも、画面全体に一つの世界観がしっかりとつくられています。

「火」は、オレンジと赤をメインに、プチプチを使うなど道具を工夫しながら炎を表現した作品です。素材の面白さを自分なりに活かす発想が光っていて、その工夫が画面にユニークな質感をもたらしています。

「無題」は、緑色を基調としたイメージの作品で、見る人によってはワニに見えるなど、さまざまなイメージを想像させる不思議な魅力があります。大人の抽象画と言っても通りそうな、堂々とした存在感のある仕上がりです。

「鉛筆画」は、鉛筆デッサンをやってみたいという気持ちから生まれた作品です。難しさを感じながらも諦めずに描き続け、明・中・暗のトーンで立体感を出すことができました。初挑戦でここまで表現できたことは、素直にすごいと思います。

それぞれの作品に、「こう描きたい」という気持ちがしっかりと込められていました。その気持ちこそが、絵を豊かにする一番の力です。これからも自分の目と感覚を信じながら、一緒に描き続けていきましょう。

画材ノート(Material Note)

野村重存「水彩スケッチの教科書」

野村重存「水彩スケッチ」の教科書|表紙画像|絵画教室ロク

「水彩画って難しそう」と感じている方ほど、この本を読むと印象が変わるかもしれません。著者の野村重存氏は、NHKの水彩画番組でもおなじみの人気画家。初めての方が迷いやすい道具選びを丁寧に解説してくれるのが特徴で、水彩紙の比較表など実用的な情報も充実しています。教室でも授業の中で活用しており、手元に置いておくほどに役立つ一冊です。



絵画教室ロクでは、名張市を中心に伊賀市・津市・宇陀市からも通いやすく、初心者から経験者まで目的に合わせて学べる環境を整えています。受験対策として基礎からしっかり学びたい方、大人の習い事として絵を楽しみたい方、子どもの情操教育として豊かな感性を育みたい方、それぞれに寄り添った指導を行っています。来週もまた、生徒のみなさんの表現力や想像力が広がる時間をお届けできればと思います。

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