水彩画を始めたいなら、
最初に手にとってほしい一冊がある
絵画教室ロクの講師が実際の授業で使っているものをレビューします。
「水彩画って難しそう…」と思っていませんか?
「水彩画を始めてみたいけれど、何から揃えればいいかわからない」「以前やってみたけど思うように色が混ざらなかった」「絵が得意な人だけのもの、という気がしてしまう」——そんな気持ちを持つ方が、絵画教室ロクにも多く訪れます。
今回紹介する野村重存「水彩スケッチの教科書」は、そういった方々に何度もお伝えしてきた一冊です。教室の授業でも実際に使っており、初心者の方が「あ、こういうことか!」と表情が変わる瞬間を何度も見てきました。
この記事でわかること:水彩画を始めるための道具・技法・描き方の基礎、そしてこの本が「自分に向いているかどうか」。購入前に迷っている方の判断材料になれば嬉しいです。
野村重存「水彩スケッチの教科書」とは
趣味をイチからはじめたい!大人のための教科書シリーズ
著者の野村重存氏は、1959年東京生まれ。多摩美術大学大学院修了後、カルチャー講座の講師として長年活躍し、NHK「趣味の水彩画」などのテレビ番組でもおなじみの人気画家です。緻密なデッサン力を基礎にした写実的な水彩スケッチが特徴で、「初めての方でも再現できるよう」ていねいに解説した本書は、入門書の定番として多くの読者に支持されています。
本書の章構成
筆・水彩紙・絵の具など道具の選び方を徹底解説。水彩紙は5段階評価で比較されており、道具選びの迷いを解消してくれます。
竹の笊と柚子、洋梨など身近なモチーフを題材に、スケッチから着色までのプロセスを連続写真で解説。
一本の木・森・建物など、屋外スケッチの定番テーマを丁寧に解説。空や木の描き方に悩む方にとって特に参考になる章です。
カモやネコなど動物のスケッチも収録。静物・風景以外の題材にも挑戦できます。
柚子・木・古民家・山・渓流・人物など7テーマのドリル。お手本を見ながら実際に手を動かして練習できます。
他の入門書と違う、3つのポイント
水彩画の本は世の中にたくさんありますが、この本が選ばれ続けている理由は明確です。
スケッチから着色まで、拡大した手元写真で段階的に解説。「なぜこうなるのか」が視覚的にわかります。
水彩紙を5段階評価で徹底比較。紙の種類による描き心地の違いが一覧でわかり、最初の一枚選びに迷わなくなります。
静物・木・古民家・山・渓流など7テーマのドリル収録。読むだけでなく、実際に描く練習ができます。
授業で使ってわかった、この本の本当のよさ
この本は、透明水彩絵の具を初めて使う生徒さんに最初にお見せする一冊です。「透明と不透明の違い」「絵の具の特性」を説明するとき、本書のビジュアルが言葉よりも早く伝えてくれます。授業の中で繰り返し活用している、信頼できる入門書です。
特に評価している点
水彩画で多くの初心者がつまずくのは「道具選び」です。何を揃えたらいいかわからないまま、合わない筆や紙を買ってしまい、うまく描けないと思い込んでしまう。本書の用具解説は、そのつまずきを事前に防いでくれます。
また、練習ドリルのテーマが「身近な静物から風景まで」と幅広いのが良いと感じています。「一本の木」「古民家」「渓流」など、日常的に目にする風景から始められるため、「描きたいもの」のイメージを持ちやすいのです。
一点だけ正直にお伝えすると、鉛筆の下書き工程の写真がやや見づらいという声が生徒さんからも上がります(Amazonレビューにも同様の意見あり)。下書きは薄い線になるため、印刷上のコントラストが低くなりがちです。その部分は授業で補足しながら使っています。
全体としては、初心者が「水彩スケッチとはどういうものか」を体系的に学ぶのに、とても役立つ一冊だと思います。
この本が向いている人・向いていない人
- 水彩画をゼロから始めたい
- 道具を正しく揃えたい
- 写実的な風景画を描きたい
- 手順を見ながら学びたい
- 独学で進めたい方にも
- 描き込み・緻密な表現が好き
- にじみ・ぼかし表現が目標の方
(永山裕子氏の技法書が向いているかも) - 抽象表現や自由な作風を求める方
- 工程解説がさらに詳しいものを求める方
水彩画を始めるための道具、何を揃える?
初心者からよく聞かれるのが「道具は何を揃えればいいですか?」という質問です。本書の用具解説を参考に、ポイントをまとめます。
本書では、リス毛・コリンスキー毛・平筆・水筆ペンの4種類を図で比較。リス毛は水含みが良く絵の具をたっぷり使いたいときに、コリンスキーは穂先のまとまりと弾力性に優れ、描き始めから細部まで幅広く使えると紹介されています。
一般の画用紙では水を吸いすぎてうまく描けない場合も。本書には各水彩紙を5段階で比較した評価表が掲載されており、紙選びの目安になります。
「透明水彩」と「不透明水彩(ガッシュ)」は別物です。本書で扱うのは透明水彩。混色の透明感が水彩画の醍醐味です。
体験レッスンでは道具はすべて教室でご用意しています。実際の道具に触れてから、自分に合ったものを揃えることをおすすめしています。
Amazonレビューからわかること
63件のレビューから、特に参考になる声をご紹介します。
「本当に丁寧に制作過程を説明してくださるので、テキストのように有難い本です。まるで学校で授業を受けているようで、基本を勉強することができました」
「水彩紙の評価表は☆5段階で非常に参考になる。下書きから着彩までの作業工程が少し飛んでいて、手順通りにやろうと思うとこの本だけでは難しい部分もある」
「鉛筆による下書きのスケッチがほとんど見えない。コントラストをつける対応ができなかったのだろうか」
下書き工程の見えにくさは確かに気になる点ですが、それを差し引いても本書の完成度は高いと感じています。連続写真によるプロセス解説と水彩紙の比較表は、他の入門書にはなかなかない情報です。手元に置いてじっくり読み返せる一冊として、手にとって損はないと思います。
実は水彩画は「どこでも気軽に描ける」
絵を始めようとするとき、多くの方がまず色鉛筆に目を向けます。筆も水も要らず、買ってすぐ使えるという手軽さは確かに魅力的です。しかし実際に始めてみると、細かな描写を重ねるうちに根気が続かなくなり、途中でやめてしまう方が少なくありません。
一方で「水彩画は外出先では難しそう」と思っている方も多いのですが、これは意外と誤解です。水彩画は、一度絵の具をパレットに入れておけば、乾いても水を足すだけで再び使えます。つまり、パレット・水筆・スケッチブックの3点セットがあれば、カフェでも公園でも旅先でも、どこでもスケッチを楽しめるのです。
色鉛筆との比較で考えると——同じ色数を表現しようとしたとき、色鉛筆は本数分の荷物になります。水彩絵の具なら混色で色を作れるため、コンパクトなパレット1つで済みます。荷物も少なく、準備も片付けも手軽です。
本書では著者・野村重存氏が実際に使うオリジナルのミニパレットも紹介されています。鉛筆・水筆・ミニパレットが一つのポケットに収まるほどのコンパクトさで、「思い立ったらすぐ描ける」環境を作ることができます。
「水彩画って大げさな準備が必要そう」と感じていた方にこそ、この本を手にとってみてほしいと思います。道具の選び方から携帯の仕方まで、始めるための現実的な情報が詰まっています。
道具は少なく見えるが、色数分の本数が必要。細かな描写に時間と根気がかかり、途中でやめてしまうケースも多い。
ミニパレット・水筆・スケッチブックの3点でどこでも描ける。混色で色数をカバーでき、準備も片付けも短時間で完了。
「どう描けばいいの?」本書が答えてくれること
水彩画を始めた方が最初にぶつかる疑問は、意外と共通しています。ここでは教室でよく耳にする質問と、本書がどのように答えているかをご紹介します。
木は「葉のかたまり」として全体のシルエットをとらえることがポイントです。本書では「一本の木」をテーマにした練習ドリルが収録されており、枝の広がり方・葉の塊の描き方・明暗のつけ方を段階的に学べます。木が苦手という方に特におすすめの章です。
空は水彩画の醍醐味でもあり、初心者が最も戸惑う題材のひとつです。広い面を均一に塗る技法、雲の表現、遠近感の出し方など、本書では空の描き方を丁寧に解説しています。連続写真で塗り進め方が確認できるので、手順通りに試せます。
これは透明水彩を不透明水彩のように塗ってしまっているケースがほとんどです。透明水彩は「白を使わず、紙の白さを活かして明るさを表現する」のが基本。暗い色から塗り始めるのではなく、薄い色から重ねていく塗り進め方が大切です。本書では透明水彩の性質と塗り方の順序を基礎からわかりやすく解説しています。
「色が濃くなる」「木がうまく描けない」——これらは初心者の方が共通してつまずくポイントです。本書はそういった疑問に対して、図解と写真でひとつひとつ丁寧に答えてくれます。手元に置いておくだけで「あのとき疑問に思ったこと」を何度でも確認できる、頼りになる一冊です。
在庫・価格はリンク先でご確認ください。
透明水彩・アクリル・デッサンを体験してみませんか?
体験レッスンでは透明水彩・アクリル・デッサンをお試しいただけます。道具はすべて教室でご用意しますので、手ぶらでお越しください。初心者の方・大人の方・お子さままで歓迎しています。








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