「比較でわかる初心者デッサンの教科書」レビュー|デッサン初心者・独学で伸び悩む人におすすめの基礎本

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画材 (Art Materials)
比較でわかる初心者デッサンの教科書の表紙全体|デッサン初心者向けの基礎入門書
絵画教室ロク|書籍レビュー
頑張っているのに上達しない…
その原因は「勘違い」かもしれません

美術教師歴約20年の講師が、教室でも使っている
『比較でわかる初心者デッサンの教科書』を紹介します。

「デッサンを始めてみたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」
「独学で練習しているのに、なぜか形がゆがんでしまう」

そんな声を、教室でもよく耳にします。デッサンの上達がとまってしまう理由は、才能や練習量よりも、基本の「とらえ方」をどこかで少しだけ勘違いしたまま描き続けていることにある場合が多いのです。

こんな方に読んでほしい記事です
  • これからデッサンを始めたい初心者の方
  • 独学で描いているけれど、上達している実感がない方
  • 円柱や箱の形が、どうしてもゆがんでしまう方
  • 鉛筆や消しゴムなど、どの画材を選べばいいか迷っている方
  • 美術系の受験に向けて、デッサンの基礎を見直したい方

今回ご紹介する『比較でわかる初心者デッサンの教科書』は、まさにこうした「つまずき」をほどいてくれる一冊です。この記事では、本の内容と講師が感じた良いところ、正直な注意点、そして本書で紹介されている画材まで、まとめてお伝えします。

どんな本?「比較」で勘違いを正すデッサン入門書

本書の一番の特徴は、タイトルのとおり「比較」で学べることです。

ページの中では、頑張って描いているのにうまくいっていないデッサンと、基本に忠実に描かれたデッサンが並べて紹介されています。二つを見くらべることで、「自分もここで同じ勘違いをしていたかも」と気づきやすく、どこを直せばよいのかが一目でわかるつくりになっています。

本書の紹介文でも、正しい基礎を知らずに勘違いしたまま練習を重ねても上達にはつながらない、という考え方が示されています。「たくさん描けば上手くなる」と信じて頑張ってきた方ほど、ハッとする場面が多い本だと思います。

比較でわかる初心者デッサンの教科書の表紙アップ|失敗例と基本に忠実な作例を比較する構成
表紙から、「比較で学ぶ」という本書のコンセプトが伝わってきます

目次から見る全体の流れ|基礎から風景画まで

本書は序章と6つの章で構成されています。描く環境づくりから始まり、少しずつステップアップしていく流れなので、はじめから順番に読み進めるだけで、デッサンの基礎を一通りたどれるようになっています。

  • 序章
    描く環境を整える
    画材の選び方、鉛筆や木炭の特徴、消し具の使い方、ライティング、姿勢と利き目、計測のしかたなど、描き始める前の準備をまとめています。
  • 第1章
    基本形体から始める
    楕円、円柱、透視図法など、形をとらえるための土台を学びます。ラフスケッチの大切さにも触れています。
  • 第2章
    トーンをつける
    円柱・球体・直方体・円錐などに明暗をつけ、立体感を出す練習です。描影法・面分割法といった技法も紹介されています。
  • 第3章
    材質を表現する
    テニスボール、ガラスコップ、金属トレー、木のモチーフ、剣玉、電球など、身近なものの質感の描き分けに挑戦します。
  • 第4章
    複数モチーフを描く
    紙コップとボール、ワインビンとパンなど、組み合わせたモチーフの描き方です。
  • 第5章
    重要な構図の知識
    構図がうまく取れない原因と対策を、3つ・4つのモチーフの例で解説しています。
  • 第6章
    風景画への応用
    自然物の練習、光の違い、建物の描き方など、デッサンの基礎を風景へ広げていきます。

各章の終わりには参考作品も収録されています。「基礎の練習が、最終的にどんな作品につながるのか」がイメージしやすいのも、続けるうえでうれしいポイントです。

講師がすすめる3つのポイント

実際に読んでみて、教室の講師として「ここが初心者の方にうれしい」と感じたポイントを3つご紹介します。

POINT 1
鉛筆の濃さの違いや、画材の使い方がていねい

ステッドラーとハイユニという代表的な2種類の鉛筆について、濃さの違いが説明されています。同じ「2B」でもメーカーによって色味ややわらかさが変わるので、知っておくと鉛筆選びで迷いにくくなります。消し具や木炭など、そのほかの画材の使い方も一つずつ説明されています。

POINT 2
描くときの姿勢や、形のとらえ方がくわしい

デッサンは手だけで描くものではありません。座る位置や姿勢が変わるだけで、見えている形も変わってしまいます。本書では、描くときの姿勢や形のとらえ方がくわしく描かれていて、「なぜ形がずれてしまうのか」の理由に気づくきっかけになります。

POINT 3
「パースをかけすぎない」ことに触れている

片目で見るか両目で見るかによって、ものの見え方は変わります。本書ではこの見え方の違いに触れたうえで、デッサンでは遠近(パース)をかけすぎないという点が説明されています。透視図法をがんばって覚えた方ほど陥りやすいポイントなので、ここに触れているのはとても良いと感じました。

講師
絵画教室ロク 講師のひとこと

うまく描けないとき、多くの方は「自分にはセンスがない」と思ってしまいます。でも実際は、見え方や道具の使い方を少し知らないだけ、ということがほとんどです。この本は、その「少し」をやさしく教えてくれる一冊だと思います。

講師が教室でも使っている一冊はこちら

絵画教室ロクでの活用法

絵画教室ロクでは、この本を形のとらえ方を説明するときや、参考例を見せるときに活用しています。

言葉だけで「もう少し楕円を浅く」と伝えるより、比較の図を一緒に見ながら話すほうが、ずっと伝わりやすいからです。生徒さん自身が「あ、こういうことか」と納得してから描くことで、描く時間そのものが楽しくなっていきます。

ただし、教室では本に書かれた描き方を「正解」として押しつけることはしません。本はあくまで、つまずいたときの道しるべ。描く人それぞれの表現を大切にしながら、必要なところで基礎の手がかりとして使っています。

口コミ・評判と、正直な注意点

Amazonでの評価もあわせてご紹介します(2026年10月時点)。

★★★★☆
星5つ中4つ/33件の評価
星5が47%、星4が22%
★★★★★ 良い口コミ

デッサンを始めるならこの本、と思えるほどの良書にようやく出会えた、という声がありました。

★★★★☆ 良い口コミ

わかりやすさを評価する声がありました。

★★★☆☆ 気になる口コミ

表紙のような比較を期待していたが、改善前と改善後で別の絵になっている箇所があり、比較になっていないところがある、という指摘がありました。

Amazonカスタマーレビューより(要約)

講師から見た、注意点への補足

ページによっては、同じ絵の「before・after」ではなく、別の作例どうしで比べている箇所もあるようです。完全な見くらべを期待すると物足りなく感じるかもしれません。その場合は、「どこが違うのか」を自分で探しながら読むのがおすすめです。違いを見つける目そのものが、デッサンで一番大切な「よく見る力」の練習になります。

おすすめな人・別の本が合う人

こんな人におすすめ
  • これからデッサンを始める人
  • 独学で描いていて、伸び悩んでいる人
  • 失敗例を見ながら理解したい人
  • 画材選びや道具の使い方から知りたい人
  • 受験前に基礎を見直したい人
別の本が合うかもしれない人
  • 人物や手など、特定のモチーフを集中して学びたい人
  • すでに基礎が身についていて、応用作品の作例をたくさん見たい人

講師としては、「今からデッサンを始める人」にぴったりの一冊だと考えています。最初の一冊として、また独学でつまずいたときの見直し用として、手元に置いておくと心強い本です。

「勘違い」に気づけば、デッサンはもっと楽しくなる
基礎から順番に学べる、初心者のための一冊です

本書で紹介されている画材まとめ

ここからは、本書で紹介されている画材をまとめてご紹介します。全部を一度にそろえる必要はありません。まずは「STEP1」の道具から始めて、描くのに慣れてきたら少しずつ増やしていくのがおすすめです。

STEP1まずはここから|鉛筆・削る道具・消し具・紙

ステッドラー マルス ルモグラフ 12硬度セット
6Bから4Hまでの12硬度がそろうセットです。本書で濃さの違いが説明されている鉛筆の一つです。
三菱鉛筆 ハイユニ アートセット 22本入
幅広い硬度がそろうアートセットです。ステッドラーとの濃さの違いを見くらべてみるのも、デッサンの楽しみの一つです。
NT 軽作業用カッター A-300GRP
デッサンでは、芯を長く出せるようカッターで鉛筆を削るのが基本です。手になじむカッターが一本あると便利です。
V.ROAD 鉛筆削り用 ガード付 安全ナイフ スカッター(右利き用)
ガード付きの鉛筆削り用ナイフです。カッターで削るのが不安な方や、お子さまの最初の一本にも。
ステッドラー マルス ダブルホールシャープナー
鉛筆用と色鉛筆用の2つの穴がある鉛筆削りです。手早く削りたいときに便利です。
ホルベイン デッサン用 練りゴム NO.5(大)3個セット
こねて形を変えられる消しゴムです。押し当てて明るさを少しずつ調整できるので、デッサンには欠かせません。
ステッドラー 消しゴム PVC-free字消し(S)2個セット
しっかり消したいときの消しゴムです。カッターで角を切り出して、細い線を消すのにも使えます。
マルマン クロッキー帳 白クロッキー紙 SS-02
本書でも大切にされているラフスケッチの練習に。気軽にたくさん描ける一冊があると、描く習慣がつきやすくなります。
マルマン ポケット判 クロッキーブック 画用紙 S163
持ち歩きやすいポケットサイズです。外出先で見つけた形を、さっとスケッチするのにも向いています。

STEP2形を正確にとらえる|計測の道具

本書の序章では、平行や垂直を計測して描く方法や、補助道具を使った修正についても紹介されています。「形がゆがむ」と悩んでいる方は、この道具から取り入れてみてください。

ホルベイン デッサンスケール D(木炭紙用)
窓のように覗いてモチーフを画面の比率に当てはめる道具です。構図を決めるときの強い味方です。
ファーバーカステル 溝引方眼定規 30cm
方眼の入った定規です。描いている途中で、平行や垂直がずれていないかを確かめるときに役立ちます。
アルテージュ デスケル はかり棒
腕を伸ばしてモチーフの長さや傾きを測る棒です。鉛筆で測るより、比率をつかみやすくなります。

STEP3トーンを深める|ぼかし・細部の道具

ホルベイン 紙擦筆(サッピツ)No.1〜3 3本組
紙を巻いた棒で、鉛筆の粉をこすってなじませる道具です。指でこするより、細かい場所までコントロールしやすくなります。
白十字 FC ガーゼ 1M 2枚入
広い面のトーンをやわらかくなじませたいときに使います。
トンボ鉛筆 MONO モノゼロ 丸型 2.3mm径
細いペン型の消しゴムです。光が当たって白く輝く部分(ハイライト)を、ピンポイントで描き起こせます。
トンボ鉛筆 MONO モノゼロ 角型 2.5×5mm
角型タイプは、シャープな線状のハイライトや、輪郭際の調整に便利です。丸型と使い分けるのもおすすめです。
XXXLION 鉛筆延長ホルダー(補助軸)6本セット
短くなった鉛筆を最後まで使える補助軸です。デッサンでは鉛筆をたくさん使うので、あると助かります。

STEP4木炭に挑戦|大きな画面で調子をのせる

本書の序章では、調子をのせるのに便利な画材として木炭も紹介されています。鉛筆に慣れてきたら、表現の幅を広げる一歩として試してみてください。

伊研 ヤナギ炭 太軸 NO.200
太めの木炭です。広い面に一気に調子をのせたいときに向いています。
伊研 木炭 No.830(柳)丸軸 細 20本入
細めの木炭です。太軸と使い分けることで、細かい部分にも対応しやすくなります。
名村大成堂 ステンレス木炭芯ぬき
木炭の中心にある芯を抜くための道具です。芯が残っていると紙を傷つけやすいので、使う前のひと手間に。
伊研 木炭精粉 No.12 瓶入 30ML
粉状の木炭です。筆などにつけて、むらの少ない調子を面でのせたいときに使います。
サクラクレパス デザイン筆 平筆 6号
本書で紹介されている平筆です。木炭精粉をのせたり、表面をやさしくならしたりするときに使えます。

STEP5仕上げ|作品を守る

マツダ 専門家画用液 フィキサチーフ 300ml(スプレー式)
描き終えた作品に吹きかけて、鉛筆や木炭の粉を定着させるスプレーです。せっかくの作品がこすれて汚れるのを防げます。

よくある質問

まったく絵を描いたことがなくても読めますか?

はい。描く環境の整え方や画材選びから始まり、楕円や円柱など基本の形へと順番に進むので、はじめての方でも読み進めやすい構成です。

独学で練習していますが、伸び悩んでいます。役に立ちますか?

おすすめです。うまくいかない作例と基本に忠実な作例を見くらべる形式なので、自分の描き方のクセや勘違いに気づくきっかけになります。

画材は全部そろえないとダメですか?

いいえ。まずは鉛筆・消しゴム・練りゴム・紙があれば十分です。慣れてきたら、計測の道具や木炭などを少しずつ取り入れてみてください。

美術系の受験対策にも使えますか?

デッサンの基礎を固める段階で役立ちます。絵画教室ロクでも、まずはデッサンの基礎を底上げし、その後は専門講習との併用をおすすめしています。

本だけで上達できますか?

本は基礎を知るための心強い味方です。ただ、自分の絵のどこで勘違いが起きているかは、自分ひとりでは気づきにくいこともあります。そんなときは、誰かに見てもらうのも一つの方法です。

まとめ|「うまく描けない」は、伸びしろのサイン

『比較でわかる初心者デッサンの教科書』は、上手な絵をただ見せるのではなく、「どこでつまずきやすいのか」を見せてくれる本です。だからこそ、これから始める方にも、行き詰まっている方にも、やさしく寄り添ってくれます。

うまく描けないのは、センスがないからではありません。見方を少し知るだけで、デッサンはぐっと楽しくなります。まずは一冊、手に取ってみてはいかがでしょうか。

まずは一冊、手に取ってみませんか
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