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いま、ここに。
日々の出来事や季節の風景、絵に関する考えなど、さまざまなことを取り上げる講師コラムです。
赤目四十八滝
赤目四十八滝を最後まで行ってみよう。
そう思い立って、赤目四十八滝にやってきた。

入口の水族館では、フラッシュなしであれば撮影可とのことで、ありがたく撮らせていただいた。水族館になって2年ほどになるそうだが、正直なところ以前のサンショウウオセンターとの違いがよくわからなかった。記憶というのはいい加減なものだ。
過去に赤目四十八滝を訪れたのは3度。そのうち2回は家族と途中まで歩いた。20年ほど前のことになる。日本サンショウウオセンターを抜けてしばらく行ったところに、茶屋のような小さな店があった。アメリカンドッグやソフトクリームを売っていたように思う。そこのおばちゃんが、食べ残しのコーンを川に放り込んでサンショウウオに与えていたような記憶がある。そしてサンショウウオは顎の力が強いと言いながら、岩陰にいるサンショウウオの口に枝を突っ込んで見せたりもしていた。特別天然記念物に対するこの大らかな扱いが、なんとも可笑しかった。
私は磐座を巡ることをライフワークのようにしていて、全国のさまざまな滝も見てきた。そういう目で見ると、赤目四十八滝は正直なところ微妙に感じる部分もある。

ただ、赤目四十八滝の魅力は滝そのものだけではないように思う。土産物屋のおばあちゃん、滝と自然を守る保全活動、夜のライトアップ——滝を中心に、さまざまな人が関わり、それぞれのやり方で盛り上げようとしている。車谷長吉の長編小説『赤目四十八瀧心中未遂』が描いたのも、その滝を舞台にした人間模様だった。
今回も、少し気分の悪い場面があった。客ではなく、おそらく保全に携わっている方との一幕だ。良い悪いで言えば、良いことばかりではない。けれど、良い悪いの尺度を外してみると、それすらも赤目四十八滝という場所の味わいのひとつに思えてくる。
滝は変わらず流れている。人間模様だけが、毎回少しずつ違う。

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今週の絵画教室
梅雨の気配がただよいはじめた一週間。教室にはそれぞれのペースで絵と向き合う生徒たちが集まり、静かで豊かな時間が積み重なりました。画材も技法もモチーフも多彩で、大人から幼い子どもまで、それぞれの「今」を丁寧に表現した充実した週となりました。
子ども(幼稚園・小学生)
今週の子どもたちは、オイルパステル・マット水彩・アクリルガッシュ・スクラッチ・はじき絵と、多彩な画材や技法で制作を進めました。桜の花びらをいかす濃いグラデーションの空、カラフルなウサギ、マスカットや洋ナシのはじき絵、さらには竹串で引っかいて色を浮かびあがらせるスクラッチ表現など、作品ごとに異なる個性が光っていました。初めてアクリルガッシュを扱った小学生がケトルへの映り込みまで細かく描写したり、ビー玉の映り込みを丁寧に観察して美しい水晶玉を描き上げたりと、観察する力と表現への意欲がぐっと育ってきています。
中学生
アクリルガッシュを使った人物画の着彩が続いています。背景に蛍光ピンクを大胆に使うなど、型にとらわれない色の選び方が作品に勢いと個性をもたらしています。また別の生徒は、グレー系の色を重ねるモノトーン作品に取り組み、しばらく考えたうえで「全体を暗いグレーで塗り込み、目の白さを際立たせる」という判断を自分でくだしました。その一手が作品に重厚感をもたらしており、自分で考えて選択する力が着実に育っています。
高校生
ふたりの高校生がそれぞれの課題に向き合いました。ひとりは布と石膏の円柱をモチーフにしたデッサンで、構図が画面の上部に偏るという課題に何度も描き直しながら取り組み、最終的にバランスよく画面に収めることができました。もうひとりは街並みの写真をグリッド法で転写する作業のあと、参考書を使って人物の各部位を描く練習へ。じっくりと基礎を積み上げている様子が伝わってきます。
大人
大人の方々はそれぞれ異なる画材と題材で制作を深めました。透明水彩でスニーカーとスケッチブックの静物画を描く方は、仕上がりをより精密にしたいとマニキュア用の細筆を自ら持参。道具への探求心が光ります。鮮やかな静物モチーフを水彩で描く方は習字の筆など様々な道具を試しながら表現の幅を広げ、缶コーラのデッサンからクレパスのアジサイへと移行した方は独自のハッチングを工夫しながら試行錯誤を重ねていました。ゴッホのヒマワリの模写に取り組む方は練習を重ねるごとにバックランのコントロールが身につき、完成間近まで到達しました。
受験対策クラス
布と石膏の円柱をモチーフに、構図の取り方を重点的に練習しました。画面上部に構図が偏るという傾向に気づき、何度も描き直してバランスを探るプロセスは、受験デッサンにおける大切な経験です。質感表現の時間が限られた中でも時間内にまとめる力を発揮しており、基礎的な観察力と対応力が着実に積み上がっています。
体験レッスン
今週は年長さんが体験レッスンに来てくれました。雪山の表現では説明通りに丁寧に塗り進め、透明感のある美しい仕上がりに。そのあとはリンゴを実際に目の前に置いて観察し、陰影を混色で表現したり、木の幹に光の筋のような黄色い線を入れたりと、はっとさせられる観察力と感性を見せてくれました。体験を経てそのまま本受講へ。これからの制作がとても楽しみです。
今週のハイライト
- 小学生がビー玉の映り込みをじっくり観察し、丁寧な描写で美しい水晶玉を描き上げた
- 中学生が「目の白さを際立たせるために全体を暗くする」という表現の判断を自分でくだした
- 大人の受講生が練習を重ねてバックランをコントロールできるようになり、技術の積み重ねを実感した
- マニキュア用の細筆を自ら持参するなど、道具への探求心と主体性が光った場面があった
- 体験に来た年長さんが驚くほどの観察力と感性を見せ、そのまま本受講へ
講師より
今週はとりわけ、生徒それぞれが「自分で考えて選ぶ」場面をたくさん目にしました。細筆を自ら持参する探求心、グレーで塗り込む大胆な判断、構図を何度も描き直す粘り強さ——どれも、教えてもらうのではなく自分で答えを探している姿です。絵を描くことは、単に技術を覚えることではなく、自分なりの表現を見つけていくプロセスでもあります。そのプロセスをみなさんと一緒に楽しめることが、この教室の何よりの喜びです。来週もそれぞれのペースで、のびのびと描いていきましょう。
今週の受講生の作品
講師のひとこと
今週は画材も技法もモチーフもほんとうに多彩な一週間でした。鉛筆・水彩・クレパス・アクリルガッシュ・オイルパステルと、それぞれが自分の画材と向き合いながら、じっくりと表現を深めていく姿がとても印象的でした。
「鉛筆デッサン」(大人・鉛筆)は、スチール缶をモチーフにした初めてのデッサン。缶の丸みや金属の質感がしっかりと表現されていて、初挑戦とは思えない落ち着いた仕上がりでした。
「ラブラドール」(小学生・透明水彩)は、犬の柔らかな毛並みと表情が水彩の透明感とうまく合わさって、生き生きとした作品に仕上がっています。短時間でここまで描けるのは、観察する力がしっかり育っている証です。
「富士山」(小学生・クレパス)は、自分で撮影した写真をもとに描いた作品。青と白という二色だけながら、重ね塗りによって生まれる微妙な色の変化が画面に深みをもたらしていました。
「桜の木」(小学生・マット水彩)は、青とピンクの対比が清々しく、背景に散りばめられた水玉の表現がアクセントになっています。シンプルな構図の中にしっかりと個性が宿っていました。
「コカ・コーラ大好き」(小学生・アクリルガッシュ)は、洋ナシとリンゴの立体感、缶コーラのロゴ、チェック柄のテーブルクロスの遠近感と、細部への観察が隅々まで行き届いた作品です。描き込みの丁寧さが全体の完成度を高めています。
「どこにでもある水晶玉」(小学生・アクリルガッシュ)は、ビー玉の中に映り込む世界を細かく観察して描き切った作品。光と影のバランスが美しく、静かな存在感のある仕上がりになっています。
「静物画」(小学生・アクリルガッシュ)は、ステンレスケトルの質感と刻印の描写、フルーツの映り込み表現など、見どころが多い作品です。初めての画材とは思えないほど自在に扱っていて、表現への意欲が伝わってきます。
「うさぎ」(小学生・オイルパステル)は、ウサギの毛の色を部分ごとに丁寧に塗り分けた作品。カラフルでありながら全体がきちんと調和していて、色を楽しみながら描いていることが伝わる明るい一枚です。
「桜の木」(小学生・オイルパステル)は、木の幹に様々な色を重ねてリアルな質感を表現。花びらを引き立てるためにあえて空を濃く塗るという判断が光っていて、構図全体を考えながら描いている様子が感じられました。
「鉛筆デッサン⑦」(高校生・鉛筆)は、時間制限のある受験を想定した制作。円柱の石膏と布という難しいモチーフに向き合い、限られた時間の中で画面をまとめる力が着実についてきています。
「水たまりとカエル」(年長さん・クレパス)は、スクラッチ技法で黒い画面に浮かびあがる水たまりが幻想的な作品。渦を巻くような線の動きがとても美しく、技法の面白さをのびのびと楽しんでいることが伝わります。
「水たまり」(年長さん・マット水彩・油性色鉛筆)は、ドリッピングで生まれた偶然の模様の上に、油性色鉛筆で水たまりを描き加えた作品。偶然と意図が重なって、水面に映る景色のような重厚感が生まれていました。
「静物画」(年長さん・マット水彩)は、目の前に並べたフルーツをそのまま感じたままに描いた作品。生き生きとした色づかいに、描くことへの素直な喜びがあふれています。
「無題」(中学生・マット水彩)は、女の子をモノトーンのグレーで描きながら、リボンだけを青く、目の白い部分だけを白く抜くという独自の判断が作品に個性と緊張感をもたらしています。こうしたらどうなるか、を自分で試していく姿勢がとても頼もしい一枚です。
どの作品にも、目の前のものをよく見て、自分なりに感じたことを表現しようとする真剣さが宿っていました。その積み重ねが、着実に作品の力になっています。これからもそれぞれのペースで、描く楽しさを大切にしながら進んでいきましょう。
画材ノート(Material Note)
永山裕子『新装版 水彩教室 透明感を引き出す「水」の使い方』(グラフィック社)
透明水彩を始めたばかりの方からよく聞くのが、「にじみがうまくコントロールできない」「思ったより透明感が出ない」というお悩みです。この本は、そういった疑問にまっすぐ答えてくれる一冊です。
透明水彩は、絵の具の色よりも「水の使い方」がすべてといっても過言ではありません。紙がどのくらい濡れているか、乾き具合はどうか——そのわずかな違いで、にじみ方もぼかし方もがらりと変わります。本書はその仕組みを、美しい作品例とともに丁寧に解説してくれています。
もともと2006年に刊行されて以来、長年多くの水彩学習者に愛されてきたロングセラーが、2025年に新装版として復刊されました。著者の永山裕子先生は東京藝術大学油画科を卒業し、武蔵野美術大学の客員教授も務める、日本を代表する水彩画家のおひとりです。
技法書としてはもちろん、美しい水彩作品を眺める画集としても楽しめる一冊です。
絵画教室ロクでは、名張市を中心に伊賀市・津市・宇陀市からも通いやすく、初心者から経験者まで目的に合わせて学べる環境を整えています。受験対策として基礎からしっかり学びたい方、大人の習い事として絵を楽しみたい方、子どもの情操教育として豊かな感性を育みたい方、それぞれに寄り添った指導を行っています。来週もまた、生徒のみなさんの表現力や想像力が広がる時間をお届けできればと思います。
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