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いま、ここに。
日々の出来事や季節の風景、絵に関する考えなど、さまざまなことを取り上げる講師コラムです。

高取城跡で出会った本丸熊 ― 制作の種は予定外の場所にある
サカナパズルの板が、100均で手に入らなくなった。
そんな話を受講生にすると、
「『道の駅 吉野路大淀』に破材が袋で売っていますよ」
と教えてくれました。
車で約1時間半。
ちょっとした遠出です。
売り場を見ると、まな板や積み木、そして子供工作木片が大きな袋に詰められて売られていました。
ただ――
サイズも厚みもバラバラ。
長さも幅も統一されておらず、設計前提で考えると扱いづらい。
ごちゃごちゃと一袋に入っている。
「これは使いにくいな」
そう思い、一度は売り場を離れました。
しかし、立ち止まります。
整いすぎた材料だけが、制作を生むわけではない。
もしかしたら、この“揃っていない感じ”こそが何かのきっかけになるかもしれない。
そう思い直し、子供工作木片を一袋500円で購入しました。

過去の自分が付けた印
このまま帰るのも惜しい。
その場でグーグルマップを開き、近くにインスピレーションの源になりそうな場所を探します。
目に留まったのが
高取城跡
「行きたい場所」としてポイントが付いている。
それを付けたのは、確かに過去の私です。
何十年も前の自分が残した印が、
今の自分を動かしている。
そう思うと、不思議な感覚になります。

高取城跡の石垣が教えてくれること
林道を歩き、息を切らして登る。
やがて現れる石垣。
こんな山の上に、これほどの石をどうやって積んだのか。
本丸から見下ろす景色は圧巻でした。
敵の動きを把握するための構造が、地形と一体になっています。
石垣はただの石の集合ではない。
意図と構造のかたまりです。
見るとは、形を見ることだけではない。
背景や構造を読み取ることでもあります。
帰り道の本丸熊

行きには目に入らなかったものが、帰りに現れます。
「本丸→」という看板を持つ木彫りのクマ。
どこか愛嬌のある表情。
丸みのあるフォルム。
私は勝手に名付けました。
本丸熊。
本丸熊越しに見る石垣も良い。
背中から見ると、まるで訪れる人を待っているような後ろ姿。
1時間半かけて来た理由は、
もしかするとこの熊に出会うためだったのかもしれません。
絵画教室ロクと「揃っていないもの」
サイズも厚みもバラバラな子供工作木片。
山の上に積まれた巨大な石。
過去の自分が残した地図の印。
どれも“整っていない”ところから始まっています。
絵画教室ロクで大切にしているのは、
見る力 × 構造で描く力
揃っていないものを、
どう見るか。
どう整理するか。
どう活かすか。
それが制作です。
今回の木片も、きっと何かに化けるはず。
整っていない材料ほど、
発想は自由になります。
さて、どうしましょうか。
高取城跡とはどんな城か
奈良県高取町の山上に残る**高取城跡**は、標高583mの高取山に築かれた山城です。
平地の城とは違い、山そのものを防御装置として活かした構造が最大の特徴です。
1|はじまりは“山を削った砦”
高取城の起源は南北朝時代にさかのぼります。
当初は大規模な天守や櫓を備えた城ではなく、山頂を削り、段状の区画(曲輪)を連ねた簡素な砦でした。
自然地形に最小限の加工を施して守りとする形式は「掻揚げ城」と呼ばれます。
つまり最初の高取城は、
建築物の城というより、地形そのものが城だったのです。
2|戦国期に石垣の城へ進化
戦国時代後期、豊臣政権下で城は大きく改修されます。
山上に壮大な石垣が築かれ、本格的な近世城郭へと姿を変えました。
郡山城を本拠とする体制の中で、高取城は最終防衛拠点としての役割を担っていたと考えられています。
白い石垣が印象的だったことから、「芙蓉城」とも呼ばれました。
3|江戸時代と廃城
江戸時代には植村家が長く藩主を務めます。
しかし泰平の世になるにつれ、山上での生活は不便となり、政治の中心は城下へ移っていきました。
明治維新後、城は廃され、多くの建物は解体されます。
それでも山頂という立地ゆえに石垣や縄張りは比較的良好に残り、
現在は国の史跡に指定されています。
4|猿石という謎
城下町への分岐点には「猿石」と呼ばれる石像があります。
その制作は飛鳥時代と推測され、築城時に転用されたとも言われています。
山城の歴史は、さらに古い時代へとつながっているのです。
高取城跡の魅力は「構造」にある
高取城跡を歩いて感じるのは、
石の大きさでも高さでもなく、
なぜここにあるのか
という問いです。
山の尾根をどう使い、
どこを遮断し、
どこを見渡すか。
それは、風景を読み解く設計思想そのものです。

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今週の絵画教室
少しずつ春の気配を感じる一週間。
花粉の季節でもありますが、教室ではそれぞれが静かにモチーフと向き合い、じっくりと制作に取り組む時間が流れていました。
観察や試行錯誤を重ねながら、一人ひとりの作品が少しずつ形になっていった一週間でした。
① 子どもクラス
子どもクラスでは、ゴリラパズルやチンパンジー、イソヒヨドリなど、生き物をテーマにした制作が続きました。ゴリラのパズルでは無駄のない混色を意識しながら色を丁寧に重ね、完成後は“遊べる作品”として楽しめる仕上がりに。チンパンジーではエンボスペンを使った体毛表現に挑戦し、塗り方の工夫によってリアルな質感が生まれました。イソヒヨドリの制作では、青い羽根の表現を親子で相談し、水色の上に青を重ねる技法を試し描きで確かめてから本番に取り組むなど、本格的な姿勢が印象的でした。以前は教室の中を歩き回ることも多かった受講生が、今では落ち着いて集中して制作できるようになり、その成長を感じる場面もありました。
② 大人クラス(昼)
昼の大人クラスでは、透明水彩による風景や静物画の制作が進みました。花とグラスの作品では、体験レッスンで学んだ技法を活かしながら花びらの塗り方を工夫し、試し塗りを重ねながら理想の色に近づけていく過程が印象的でした。また、近所の川の風景ではペン画をベースに薄く透明水彩を重ね、落ち着いた雰囲気の風景表現へ。生け花と馬の置物の作品では、にじみが起きた場面でも落ち着いて乾燥させてから描写を続け、質感のある仕上がりへと近づきました。制作を重ねる中で、技法だけでなく「対処する力」も育っているように感じられました。
③ 中高クラス
中学生の受講生は、リンゴや瓶、トルコ式コーヒーメーカーなどをモチーフにした静物画に取り組みました。アクリルガッシュで着彩を進める中、まずは背景のテーブルや柱の質感から丁寧に描き込み、画面全体の雰囲気を整えていきました。物の形だけでなく素材感を意識しながら描く姿勢が見られ、完成へ向けて着実に画面の密度が高まってきています。
④ 受験対策クラス
受験対策として取り組んでいる鉛筆デッサンでは、リンゴとステンレスジョッキをモチーフに金属の質感表現を進めました。特にステンレスに映り込む背景を細かく観察しながら描き進めることで、単なる「物の形」ではなく空間全体の関係性を理解する制作になっています。描くほどに新しい発見があり、観察力の深まりが作品に表れてきました。
⑤ 体験レッスン
今週は大人の方と小学生が体験レッスンに参加されました。ウェットオンウェット技法では、湖面に映る雪山の表現に挑戦。刷毛の扱いに少し戸惑いながらも、美しい鏡写しの雪山が完成しました。その後の創作画では、動物や人物の表情が豊かで、物語を感じさせる作品に仕上がりました。大人の体験では透明水彩の基本技法10種を体験し、水加減の難しさに触れながらも多くの技法を表現。嬉しいことに、お二人とも本受講へとつながりました。
⑥ 夜クラス(大人)
今週は夜クラスの通常レッスンはありませんでした。
今週のハイライト
- ゴリラの「遊べるパズル作品」が完成
- エンボスペンを活かした体毛や羽根の表現への挑戦
- 透明水彩での試し塗りを通して色表現を深める制作
- 体験レッスンから新しい受講生が誕生
- 子どもの一年間の成長を感じる制作風景
講師より
今週は、試し描きや観察を重ねながら「どう表現するか」を考える場面が多く見られました。絵を描くことは、形を写すことだけでなく、見て、考え、試してみるという小さな積み重ねでもあります。子どもから大人まで、それぞれのペースで制作と向き合う姿がとても印象的でした。来週もまた、一人ひとりの表現を大切にしながら、ゆっくりと作品を育てていきたいと思います。
今週の受講生の作品
講師のひとこと
今週は、試行錯誤の中から表現が生まれていく様子がとても印象的な作品がそろいました。描きながら考え、確かめ、また描く。その積み重ねが、作品にしっかりとした魅力を与えているように感じます。
小学生の作品、**「ゴリラパズル」**は、アクリルガッシュで丁寧に色を重ねて完成しました。無駄のない混色を意識しながら制作が進められており、最後にはカスレていた部分も塗り直して画面を整えています。一匹一匹違う種類のゴリラが描き分けられているため、画面として見ても楽しく、さらにパズルとしても難易度の高い作品に仕上がりました。
続いて小学生の**「チンパンジー」**の作品では、オイルパステルを使い、エンボスペンで体毛の表現に挑戦しました。制作の途中で、黒く塗り込んだ部分によって凹ませた線が見えにくくなるという場面もありましたが、その結果、外側に残った毛の線が自然な毛並みの表情を生み、リアルなチンパンジーの雰囲気を感じさせる仕上がりになっています。試しながら表現を見つけていく、制作の楽しさがよく伝わってくる作品です。
大人の受講生による**「習作」**は、色鉛筆で金属のスプーンを丁寧に描いた作品です。テキストを参考にしながら影の部分を慎重に重ね、ハッチングが入らないよう筆圧を細かく調整しながら描き進められていました。最後にティッシュでやわらかくぼかしたことで、金属の質感と影の柔らかさが自然に表現されています。時間をかけて向き合ってきたことが感じられる、静かな完成感のある一枚でした。
絵を描く中では、思い通りにいくことばかりではありません。しかし、その過程で生まれる発見や工夫が、作品の魅力をより豊かなものにしてくれます。これからも、それぞれのペースで観察と試行錯誤を楽しみながら、作品づくりを続けていってほしいと思います。
画材ノート(Material Note)

今回は画材紹介として、人気の高級色鉛筆
ファーバーカステル ポリクロモス色鉛筆 60色セットをご紹介します。
ポリクロモスはドイツの老舗画材メーカー「ファーバーカステル」が製造する油性色鉛筆で、世界中の画家やイラストレーターにも愛用されている色鉛筆です。
発色がとても美しく、芯が滑らかで重ね塗りもしやすいため、細密描写やリアルな色鉛筆画にも向いています。
動物画や植物画、風景画など幅広い表現ができる色鉛筆として人気があります。
60色セットは色のバランスがよく、色鉛筆画を楽しみたい方や本格的に作品制作をしたい方にもおすすめのセットです。
▶ 画材はこちら
【ファーバーカステル ポリクロモス色鉛筆 60色セット】
色鉛筆についてもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
絵画教室ロクでは、名張市を中心に伊賀市・津市・宇陀市からも通いやすく、初心者から経験者まで目的に合わせて学べる環境を整えています。受験対策として基礎からしっかり学びたい方、大人の習い事として絵を楽しみたい方、子どもの情操教育として豊かな感性を育みたい方、それぞれに寄り添った指導を行っています。来週もまた、生徒のみなさんの表現力や想像力が広がる時間をお届けできればと思います。
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